根気よくしつける事が犬のしつけの基本
犬のしつけで大切な事は、飼い主さんが諦めない事です。
犬は教えればすぐに覚えるような事はなく、根気強く、何度も教える事が非常に重要になってきます。逆を言えば、繰り返す事で犬は確実に覚えてくれます。(ものすごく難しい芸は個体差があります。)
また犬は本能的に行動をするものです。
飼い主さんの意にそぐわない行動をしたからといっても、犬を叩いたりするのはやめましょう。
叩く事には全く効果がありません。効果がないだけではなく、悪い効果を与えてしまう事もあります。
犬との信頼関係が薄れ、気の強い犬だと、噛み付いてくるなんて事も。
犬を叩くというのは飼い主さんにとっても、犬にとっても良い事は一つもありません。
また、根気よくしつけをする事は大事ですが、犬は集中力があまり無い動物です。
何時間も同じしつけを繰り返すのは意味がないと言われています。
最も効率的なのは、短時間の練習を根気よく、そしてしつけの最中も犬を飽きさせないように、成功すれば嬉しい事が待っているというご褒美を用意してあげる事です。
最初はおやつを用意してあげ、上手に出来たら1つあげる。この時同時に、よく褒めてあげる事を忘れずに。
それを繰り返し、ある程度できるようになったら、毎回おやつをあげるのではなく、2回に1回、3回に1回とおやつをあげる頻度を減らしていきます。最終的にはおやつをあげなくても、出来るようになります。
“しつけは必要ない” と仰る方もいます。
確かに ”おすわり” や “お手” などは一緒に生活する上では必要ないかもしれません。
ですが例えば ”嬉しい” を表現する犬が、飼い主さんに飛びつく行為を見かける事があります。
これは、”飛びつく” = “嬉しい” になっていますね。
犬好きな方は飛びつかれる事は嬉しい事かもしれませんが、犬が苦手な人はどうでしょうか?
また犬は飛びつく相手が、”高齢なのか” “飛びついても大丈夫な人” なのか等は見分けることが出来ません。
こういう行為にちゃんとダメと教えてあげる事で、犬にも飼い主さんにも、また犬を可愛がってくれる方にもリスクを減らす事が可能ですよね。
しつけはどんな犬にもする事ができます。今はできなくても、練習を繰り返し根気よくしつける事で、犬のリスクを十分に減らす事が可能になると同時に、飼い主さん、可愛がってくれる方へのリスクも減らしましょう。
以下に基本的なしつけ方法や、間違えやすいしつけの内容について記載していますので、参考にしていただければ幸いです。
犬は順位をつけたがる!?
犬は元々群れで生活をする生き物です。群れの中には順位があり、リーダーの言う事を聞く修正があります。
犬好きな方はご存知な方も多いと思いますが、犬は飼い主にも順位をつけます。
“自分の言う事は聞かないけど、お父さんの言う事は聞く”なんて事になっていたら、あなたは犬より順位が低いと認識されているのかもしれません。
順位が低い事が悪い訳ではないですが、言う事を聞いてくれない事は飼い主さんにとっても犬にとっても良い事はあまりありません。”言う事を聞いてくれないから可愛くない”なんて事になったら本末転倒ですよね。
また一度下に見られた”順位”を覆すのは意外と大変ですので、一緒に生活を始める段階で、ご家族の皆さんが犬より上だと言う事を教えてあげてください。
簡単な所で言えば、ご飯は人間が食べ終えてから犬にあげるとか、人間よりも先に犬に与えない事です。少しの意識でこれは可能ですね。
人間がころころ態度を変えてはダメ!
犬のしつけでは、昨日は怒った事を今日は怒らないというように、ころころ態度を変える事はよくありません。
例えば、夕食時に普段は椅子の上に乗って来たら怒っているのに、今日は自分の機嫌が良いから、椅子の上に乗せてあげようとかはよくあるかと思います。これは犬にとっては何がダメで何が良いのかは全く分からなくなってしまいますよね。
これはダメという線を忠実に守る事で犬も理解をしてくれます。ここが曖昧になると、なぜ怒られているのかも判らないまま、ただただ怒られるという、犬にとっては非常に理不尽な状況になります。
ある程度しつけが完了するまでは、終始一貫した態度で接してあげましょう。
もちろん褒める時も同じです。
昨日は褒めてくれたのに、今日は褒めてくれないというように飼い主さんがブレると、犬はパニックです。
教えた事が出来たなら、終始褒めてあげましょう!
褒めてあげるタイミングが大事!
上記にも記載しましたが、犬はあまり記憶力がよくありません。
これも有名な実験のお話ですが、犬に一定時間お留守番をさせ、飼い主が帰宅。悪い事をした日と、悪い事をしていない日で全く同じように怒っている態度で接すると、全く同じ悪い事をした時の反省した様な反応を示すのです。
尻尾を下げ、飼い主さんを伺いながら、近寄って来たらお腹を見せて反省の意を示してくるのです。
この実験で解るのは、数時間の内に悪い事をしたから反省の意を表しているのではなく、飼い主さんが怒っている雰囲気を察知して、尻尾を下げ、飼い主さんを伺いながら、近寄って来たらお腹を見せて反省の意を示してくるのです。
犬の記憶力ですが、記憶の種類によりますが、とある文献では十秒前の出来事も記憶していないという事も報告されています。
人や物などは生涯覚えられますが、視覚や聴覚など感覚的な記憶は数秒しか覚えていないのです。
この数秒〜数十分しか覚えられない記憶に”しつけ”も入って来ますので、褒める時やしつけをする時には、すぐに褒めてあげる事が重要です。またこれを何度も繰り返し記憶させる事で、生涯忘れない記憶として教えてあげる事が出来ます。
犬が排泄に失敗した時は怒らない
排泄に限った事ではありませんが、よく失敗の事例であげられるのが、犬が排泄に失敗した時と書かれているので、引き合いに出します。
犬の排泄で言えば、飼い主さんが設定した場所以外で排泄をしてしまうと”失敗”ですね。
この時皆さんはどのようにしつけをしますか?
大きな声で、”ダメー!” とか犬を排泄した場所に連れていって、叱ったりしていませんか?
実は犬は怒られても、具体的に何に怒られているのかは解りません。
具体的に何に対して怒られているのかが解らないという事は、”排泄をした場所が悪いから叱られた” ではなく、“排泄をしたら叱られた。” という事になってしまいます。
このようなしつけが、定期的に行われると、
排泄する = 悪い事 = 隠れてする = ストレスが溜まる
といった悪循環になってしまいます。
飼い主さんもそういう意図はないですよね?
犬の排泄で言えば失敗したからといって、叱ってしまうのは間違っています。
“排泄をする場所が違うから叱られた”とは犬は理解ができないからです。
これは他のしつけに関しても、全く同じです。
叱られても犬には理解できない事があるという事を飼い主さんが理解してあげましょう。
そうする事で自ずとどう教えてあげれば良いか、飼い主さんが解るはずです。
“ハウス”を悪い意味で使ってはいけない
犬を叱る時に、”ハウス”と言って犬小屋に入れさせる事ありませんか?
これは間違ったしつけかもしれません。
犬にとっての”ハウス”は叱られたら入る場所ではなく、安心できる”良い場所”であるはずです。
”ハウス” = “悪い場所” ではなく ”ハウス” = “良い場所” が良いですよね。
キッチンや食卓の上など、犬の届く所に食物を置いてはいけない
これは犬の命にも関わる事なので、十分に注意してください。
犬の鼻は非常に優れていますので、おやつのある場所や、食べ物のある場所はすぐに見つけてしまいます。
また犬が届く場所に食べ物が置いてあれば、無条件で食べてしまいます。
“犬に食べさせてはいけない食べ物”にも記載していますが、食べてしまうと命に関わるような食材も沢山ありますし、それを食べても良いのかは犬には判断ができません。
また少量なら大丈夫でも、大量に食べると危険な食材も沢山あります。
食卓の上やキッチンでも、犬は椅子に上がったり袋をこじ開けたりして食べ物を食べてしまいます。
犬には開けられない棚の中にしまったり、絶対に届かない場所にしまったりして、飼い主さんの方が気をつけてあげましょう。
気をつけていても、つい忘れてしまったりとかはあると思います。
その中に食べてはいけない食べ物が含まれていたり、大量に食べてしまったりした場合は、獣医さんに診てもらいましょう。
必要があれば、催吐処置や胃洗浄などして貰いましょう。
犬がうなっても叱ってはいけない
犬が “うなる” 行為には色々な意味合いがあります。
嬉しい時、遊んでいる時に興奮する事でも唸りますし、恐怖を感じている時、自分のテリトリーを主張する時や体の不調を訴えている時にも唸ります。
この唸りは何を主張しているのかを飼い主さんが見極める必要があります。
犬が “うなる” 行為、全てをヤメさせなければならない!と発信している方もいらっしゃいますが、そうは思いません。
自然に出てくる行為には”快感”が伴っていると考えます。
嬉しい時や、遊んでいる時に興奮し唸る場合、これは一つの表現であり、これ自体をしつけようとすると、”嬉しい”を表現している事を咎められたと勘違いしてしまう事もあるかもしれません。
またそこをしつけたいと思う事はそうない事だとも思います。
やめさせたいのは、自分のテリトリーを主張する時の一部や、恐怖を感じている時の一部だと思います。
恐怖を感じてうなっている場合、しかるのではなく、その場から少し移動させてみてください。
小型犬などでは抱っこをしてあげるだけでも十分落ち着くでしょう。
また自分のテリトリーを主張してうなっている場合、順位付けであなたの順位が低いのかもしれません。
犬の順位が一番下になるように普段の生活を見直す必要があります。
うなっている事自体をしかるのではなく、その原因を見極め適切なしつけを心がけましょう。